末梢動脈疾患
末梢動脈疾患、PADとも呼ばれますが、大動脈がおへそのあたりで2つに分かれて膝までの間に、総腸骨動脈→外腸骨動脈→浅大動脈→膝窩動脈のどこかで細くなったり詰まったりして起こる病気です。病気の原因は動脈硬化であり、とりわけ重要な危険因子は喫煙と糖尿病です。また、同じ動脈硬化の病気である心筋梗塞・脳梗塞・腎不全など合併症の症状も生じます。末梢動脈疾患は、心筋梗塞・脳梗塞・腎不全を高率で合併します。さらに、下肢の虚血が進行すると5年生存率は約40%に低下します。これは大腸がん・乳がんよりも芳しくありません。ですので、可能な限り早くしっかり診断をつけて治療を開始する事が大切です。治療においてまず重要な事は、危険因子の改善だと言えるでしょう。喫煙者はたばこをやめる事がなによりも大切です。軽症で運動が可能ならば運動療法が有効です。薬物療法は補助的に行われ、薬物療法のみでは改善するという事はありません。よい重症な場合は、薬物療法に併せてカテーテル治療あるいはバイパス手術を行うという事もあります。近年、造血幹細胞の注入や遺伝子治療など血管新生を狙った治療法も脚光を浴びつつありますが、いずれも試験的な段階になります。