習慣流産
妊娠はしても流産や死産を繰り返してしまう状態の事を不育症と言い、そのうち3回以上の流産を繰り返す場合を習慣流産と言います。一般的に自然流産は妊娠の約15%でみられ、稀な事ではありません。そこから3回以上流産を繰り返すのは1%以下の割合となり、何等かの原因があると考えて検査や治療を行います。原因として考えられる事は、子宮の奇形・ホルモン異常(黄体機能不全・高プロラクチン血症・甲状腺機能異常)・糖尿病・血液凝固異常・自己免疫異常(抗核抗体・抗リン脂質抗体の異常)・夫婦の染色体異常などがあげられます。この為あらゆる可能性を念頭に置いたスクリーニングを実施します。子宮奇形に対しては手術を行います。ホルモン異常・糖尿病・自己免疫疾患に対してはそれぞれに有効な薬を用いて治療します。血液凝固異常や抗リン脂質抗体症候群については血液が凝固しやすく血栓を起こす事が流産の原因だと考えらえています。その為、妊娠初期から低用量のアスピリンを内服する事が有効です。重症例ではヘパリンを連日注射する必要があります。