鑑別には注意が必要
一度のAFP測定だけでは肝細胞がんとこれらの良性疾患とを区別するのは難しい事があります。その場合、肝細胞がん由来のAFPを区別して測定するAFPレクチン分画検査を行います。本検査でL3分画が高値を示すようなら、肝細胞のがん化が疑われます。その他の各種測定検査の結果と合わせて総合的に診断確定を行っていきます。また、治療後の経過観察においてもL3分画を追跡測定する事が有用です。ただし、L3分画が低値であったとしても、肝細胞がんでないとは断言できません。逆に良性の肝疾患であったとしても、自己免疫性肝炎も含め重症型急性肝炎・慢性肝炎の病態が悪化した場合・病態が不安定な肝硬変などで数値が上昇するというケースもあります。ですので、鑑別には注意が必要だと言えるでしょう。また、AFPというのは本来胎児の正常肝細胞が作り出す胎児性たんぱくですので、正常妊娠時に高値となります。が、異常妊娠時にはこれがさらに高値を示す事が分っています。小児の病気としては、新生児肝炎。先天性胆道閉鎖及び肝芽腫などでもAFPは高値を示します。特に肝芽腫においてはほぼ全例で高値を示す為、AFP値を追う事は治療効果や再発の有無を知る有用な手がかりだと言えます。